クラッチを握りやすいように調整


「クラッチの遊びの調整」とは

「クラッチの遊び」とは、クラッチを完全に放している状態から、レバーを握ってクラッチが切れ始めるまでの余裕のことです。
解放状態から半クラッチまでの距離、という言い方もできます。
「クラッチの遊びの調整」とは、この余裕の多さを加減することです。

そこまで重要なものなのか疑問に感じるかもしれませんが、下手をすると命に関わる問題になりかねません。
少なくとも、バイクの寿命には大きく影響します。
クラッチの遊びが無く締まりすぎていると、レバーを握っていなくても半クラッチの状態になってしまいます。
そうなると常にクラッチが滑り続けていることになるので、それが原因で故障してしまうのです。

逆にクラッチの遊びが多すぎてゆるいと、レバーを最大限に引いても半クラッチまでにしかならないので、またクラッチが滑り続けて故障してしまいます。
解放状態、半クラッチ状態、クラッチがつながっている状態、の3つがちょうどよくコントロールできるように、クラッチの遊びは調整が必要なのです。
また、自分が意図したタイミングでクラッチが効かないと、それが原因で発進に手間取ってしまったり、ターンの時にこけてしまったりする可能性があるのです。
中には、調整だけでは満足いく仕様に調整できないので、調整ダイヤルを付きレバーを使う人もいます。

なぜもともとちょうどいいように設定されていないのか、という疑問を持つ人もいるかもしれません。
これは、車のドライバーのシートが前後に動かせるようになっているのと同じような理由です。
ドライバーシートの位置は、その人の体の大きさや運転の癖で変わります。
クラッチの遊びの量も、ライダーの手の大きさや、運転の癖に合わせて調整しなければいけないのです。

クラッチの遊びの調整方法

クラッチの遊びの調整には、主調整と微調整がありますから、まず微調整から行いましょう。
クラッチレバーについているカバーを外すと、中にはロックナットとアジャスターがあるので、まずロックナットを緩めます。
するとアジャスターが動かせるようになるので、それを回して調整を行います。

アジャスターからレバーの付け根までの距離が狭くなると、遊びが多くなります。
クラッチレバーを握ってみながら調整していきましょう。
微調整だけで満足いくまで遊びを変えることが出来なかったら、主調整を行います。

主調整は、エンジンのクラッチ側で行います。
エンジン近くにある、クラッチレバーを引くと動くワイヤーです。
2つのナットがあるので、レバー側にあるナットを緩めると、遊びが多くなり、締めると少なくなります。
ナットを動かしてできた隙間を、反対側からケーブルをつまんで動かし、ずらして埋めます。
動かしたほうと反対のナットを締めれば、調整完了です。